Macbook Pro に Manjaro i3 edition をインストールした話
M1 Macbook Airを買ったので,それまで使っていたMacBook Proに Manjaro i3 edition をインストールしてみました.
まえがき
先日,M1 MBAことMacBook Air (M1, 2020) を購入しました.
噂に効いたとおり,抜群のバッテリー持ちとそこそこの性能を併せ持っていて,非常に満足しています.
M1 MBAを購入した理由は,それまで使っていたMacbook Pro (Early, 2015)のバッテリーの劣化と性能に対する不満です.
大学入学と同時に購入したMBPは,購入からすでに6年経ち,OSもOS X El Capitan(10.11)からmacOS Big Sur(11.5)にまでバージョンが上がりました.
OSのバージョンアップを重ねるたびに動作が重くなり,さらには一部機能がこの機種では使えないなどといった状況になってきました.
また,自分自身も変化しメインのキーボード配列がJISキーボードからUSキーボードになるといった影響から,JISキーボード版で購入していたMBPに対して不満を抱くようになりました.
そんなこんなでMBPからM1 MBAに乗り換えたのですが,MBP自体故障はしていないため,しばらく遊びで使おうと画策しました.
そんな遊びの一貫で今回は,MBPにManjaro i3 editionと呼ばれるLinuxディストリビューションを
インストール・初期セットアップ手順について備忘録を残します.
注意点ですが,macOSとのデュアルブートではなく,macOSを消してmanjaroだけ起動する方法について書かれています.
このページはブログなので,ブログっぽい書き方で進めますが,もっと辞書的に読みたい方は,個人wikiのManjaroのページを見ていただければ,最新の手順だったり,設定コマンドのコピペが捗るかと思うので,そちらを参照してください.
Manjaro と i3
ManjaroはLinuxディストリビューションの1つであり, Arch Linuxベースのものになります. Arch Linuxといえば,Gentoo Linuxよりちょっとマシだけど,インストールが難しいそうなディストリビューションなイメージが(私は)ありますが, Manjaroは簡単にインストールすることが可能になっています. 個人的な表現では,Arch Linux界のUbuntuでしょうか. こういった親切さからか,FLOSSなOSのランキングを載せているDistroWatchの Page Hit Rankは上位5位に常にいるような存在で,だいたいUbuntuより上です.
i3とは,ウインドウマネージャの1つであり, タイル型のウインドウマネージャが特徴です. タイル型ウインドウマネージャは,マウスよりキーボードによるGUIの操作を得意とし, ウインドウの移動をキーボードから手を離すことなく行なえます. そのため,とっつきやすさは低いですが,慣れれば非常に快適なデスクトップ体験を得ることができます. ウインドウマネージャ界のVim的存在です. Macerにわかりやすく言うと,Magnetの超拡張版みたいなものです. タイル型ウインドウマネージャはこれ以外も様々な種類があり,ArchLinuxのWikiページでまとめられています.
Manjaro i3 editionとは,これらを組み合わせたもので, 「標準のウインドウマネージャがi3なArchLinuxベースの超絶使いやすいLinuxディストリビューション」です.
MacBook Pro に Manjaro をインストールする
Macbook Proに Manjaro をインストールする方法は大まかに以下の3つです.
- Macを初期化する
- インストールメディアをつくる
- インストールメディアからインストールする
このブログでは,上記のことに関してはサラッと流します.
Macを初期化する
iCloudの連携などが残ったままだと,Macを消した後いろいろ面倒なことが起きそうなので, 他人に譲渡可能なレベルまで初期化しておきます. この手順に関しては,Appleが公開しているMac を売却、譲渡、下取りに出す前にやっておくべきことを参考にしてください.
インストールメディアをつくる
Manjaro i3 editionからISOをダウンロードしてきて, balenaEtcherあたりでUSBに焼いてください.
インストールメディアからインストールする
ISOを焼いたUSBをMacに挿して起動するとどのディスクから起動するかを選択する画面が出てくるので, “EFI"という名前のやつを選択してください. もし,macOSが残っていたなら,optionキーを押下したまま電源を投入すると選択画面がでてくると思います.
USBから起動すると,ブートの設定画面が表示されるはずです. Timezoneであったり,キーボードレイアウトを適切なものに変更し,起動してください.
ここまでくると,デスクトップが表示されますので,右下のネットワークのアイコンから,接続するWiFiのSSIDを選択し,接続してください. デフォルトでWiFiが使えるのはいいですね.
ネットワークに接続したら,画面の指示に従ってインストール作業を行います.
Manjaro i3 を Macで使いやすいように初期設定する
デフォルトのままだといくつか使いにくい点があるので,使いやすいようにカスタマイズしましょう.
MacBook Pro (Early, 2015)に特化した設定はInstall Manjaro i3 Edition on MacBookPro early2015に詳しく書かれています. 以下では,私が追加で行ったことや差分について書きます.
- pacmanのミラーリポジトリを最適化してシステムを最新化する
- ディスプレイスケールを変更する
- 日本語入力ができるようにする
- 日本語フォントインストール
- Vivaldiをインストール
- Slackをインストール
- VisualStudioCodeをインストール
- Ulauncherをインストールと設定
- Cmd+Qでアプリを終了させる
- タッチパッドの右クリックをmacと同じ押し込む仕様にする
pacmanのミラーリポジトリを最適化してシステムを最新化する
pacmanはパッケージマネージャの1つです. Ubuntuでいうapt,CentOSでいうyum・dnfです.
sudo pacman-mirrors -g && sudo pacman -Syyu
随所で以下のようにミラーサーバを最適化させているのを見かけますが,
私の場合,ミラーサーバ一覧にJapanがなかったので,-g
オプションで最新のものを取得しています.
また,-g
オプションで --fasttrack
まで行ってくれるみたいですね.
ディスプレイスケールを変更する
HiDPIで各アイコンやフォントが小さすぎるので,目に優しい大きさまで大きくします.
好きなエディタで ~/.Xresouces
ファイルを以下のように編集します.
Xft.dpi: 150
URxvt.font: xft:TerminessTTFNerdFontMono:size=14:antialias=true
Xft.dpiがディスプレイスケールで, URxvt.fontがターミナルエミュレータのフォントサイズなどの設定です. 反映するには,一旦logoutしてloginする必要があります.
日本語入力ができるようにする
2021/8/14現在,fcitx-im
fcitx-configtool
がpacmanおよびyay上に見つかりませんでした.
そのため,別の方法でインストールする必要があります.
また,fcitx-im
がなくても動くので,fcitx-configtool
をインストールする方法を書きます.
cd Downloads
sudo pacman -Ss base-devel cmake # コンパイル環境とcmakeを入れる
git clone git@github.com:fcitx/fcitx-configtool.git # fcitx-configtoolのソースを落としてくる
cd fcitx-configtool
mkdir build
cd build
cmake .. # 以下ビルド
make
sudo make install # インストール
reboot # 再起動しておく
日本語フォントインストール
源ノ角ゴシックと源ノ明朝を入れます.
sudo pacman -S adobe-source-han-sans-otc-fonts adobe-source-han-serif-otc-fonts
Vivaldiをインストール
VivaldiはChromiumベースの高機能なブラウザです.
縦タブができたり,デフォルトでマウスジェスチャーがあったりするので,
「いんたーねっとへびぃゆーざー」におすすめです.
sudo pacman -S vivaldi
デフォルトブラウザにするには以下を追加で行う.
~/.profile
ファイルの $BROWSER
の値を /usr/bin/vivaldi-stable
に変更する.
xdg-mimeのhttpとhttpsのデフォルトを変更する.
xdg-mime default vivaldi-stable.desktop x-scheme-handler/http
xdg-mime default vivaldi-stable.desktop x-scheme-handler/https
Vivaldiを mod(cmd) + Shift + Return で起動するように変更します.
~/.i3/config
ファイルを以下のように変更
bindsym $mod+Shift+Return exec vivaldi-stable
デフォルトで,他のが動くようになっているので,そちらはコメントアウトなり,別のに割り当てるなりしてください.
ブラウザで使われるデフォルトフォントを変更します.
VivaldiのURL欄に以下を入力して,フォント設定欄で好きなフォント(さっき入れた源ノ角ゴシックなど)を設定してください.
chrome://settings/fonts
Slackをインストール
ひとりでもメモ帳代わりに使ってます.
sudo yay -S slack-desktop
VisualStudioCodeをインストール
言わずとしれた高機能エディタ
yay -S visual-studio-code-bin
Ulauncherをインストールと設定
UlauncherはApplication Launcherの1つで, macでいうと,Spotlightみたいなもんです.
sudo pacman -S ulauncher
macみたいにmod(Cmd) + Spaceで起動してほしいので,~/.i3/config
を以下のように変更します.
bindsym $mod+space exec --no-startup-id ulauncher
Cmd+Qでアプリを終了させる
.i3/config
を以下のように変更します.
bindsym $mod+q kill
デフォルトで $mod + q
は使われているので,それは別のショートカットにするか,コメントアウトしてください.
タッチパッドの右クリックをmacと同じ押し込む仕様にする
/etc/X11/xorg.conf.d/30-touchpad.conf
に以下の行を追加する
Option "Tapping" "off"
あとがき
i3はかなりカスタマイズが効くウインドウマネージャで,コアなファンが居るように感じます.
そんなこともあってか,Ubuntu + i3な組み合わせのディストリビューションであるRegolith Linuxというものもあります.
debパッケージを使いたいが,i3を使ってみたいというった方はそちらがマッチするのではないかと思います.
また,Regolith LinuxはUbuntuに後から導入可能なので,そういった点でもかなり面白いなと感じています.
私もまだi3歴は短いので,いくつか使っていてわかったことがあれば(そしてやる気があれば)随時このエントリーを更新していきたいなと思います. (ただし,絶対的に個人wikiのManjaroのページのほうが反映が早いです)
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