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はじめに

この記事では,iPhone12 mini と Rakute Mobile UN-LIMIT V を組み合わせた時の一部挙動について述べる.
現在(2020/11/17) 時点では,Rakuten MobileはiPhoneを動作保証対象外端末として扱っている.
しかし,完全に利用できないわけではなく,一部機能を利用できないとして紹介しており,契約時に郵送されるスタートガイドには,iPhoneシリーズでのAPN設定方法が記載されている.
利用できない機能は,楽天モバイル(楽天回線)でiPhoneを使うで随時確認することができるが, この記事の執筆時点では,以下機能が利用できない.

  • 海外66の国と地域グローバル無料
  • SMS(パートナー回線)APN自動設定 海外/国内
  • 接続回線の自動切替(楽天回線⇔パートナー回線)
  • ETWS、110/119通話などでの高精度な位置情報測位

この記事では,これらのうち「接続回線の自動切替(楽天回線⇔パートナー回線)」と「SMS(パートナー回線)」について述べる.

前提知識

まずは,この記事で述べる事柄について,いくつか紹介しておく.
Rakuten Mobile UN-LIMIT Vは,MNOとしての顔を持つRakuten Mobileが提供するサービスで, Rakutenが自社で基地局を整備することで広まっている回線(以降,Rakuten回線と呼ぶ)では,無制限にデータ通信が可能となる.
しかし,執筆時点では,Rakuten回線に接続可能な通信エリアは広くなく,大都市中心部でのみ利用可能という状況である.
そこで,Rakuten回線ではカバーしきれていないエリアについては,auが保有する基地局を間借り(ローミング)している状況である.このauの回線をRakuten Mobileはパートナー回線と呼んでいる.
パートナーでは,月5GBを上限としており,それを超過すると1Mbpsまで速度が落とされる.
Rakuten回線とパートナー回線は,それぞれBand(周波数帯)が異なっており,

  • Rakuten回線: Band 3(1.7GHz帯)
  • パートナー回線: Band 18(800MHz帯)

を利用している. iPhone12シリーズは,この両方のBandに対応しているため,全国の多くの地域で利用することは可能である.

本記事での環境

本記事では,以下の環境で起きた事象について述べる.

  • iPhone12 mini (A2398)
  • Rakuten Mobile UN-LIMIT V契約の物理SIM
  • 地域は大阪

接続回線の自動切替(楽天回線⇔パートナー回線)

想定される挙動

Rakuten Mobileをそのまま引用すると,iPhone12 miniシリーズでは,「接続回線の自動切替(楽天回線⇔パートナー回線)」が利用できないとしている.
これに関しては,端末の詳細ページでさらに詳細に挙動が書かれており,引用すると以下が書かれている.

楽天回線エリアでの、楽天回線への自動接続機能です。自動接続ができない場合、楽天回線エリアでもパートナー回線エリアのデータ容量5GB/月を消費する場合があります。

つまり,
- Rakuten回線 → パートナー回線 は自動的に切り替わる
- パートナー回線 → Rakuten回線 は自動的に切り替わらない

ということだと思われる.

接続している回線のBandを測る方法

接続している回線のBandの計測方法について述べる.

iPhoneでは,Phone.appを利用することで確認が可能である.
電話番号に「*3001#12345#*」を入力し,電話をかけるボタンをタップすることで, FTMInternal-4というアプリが立ち上がる.

他にもショートカットを利用して起動させる方法がある. ショートカットは「ftminternal-4 shortcut」で検索するといくつかヒットする. 他人が作った物が配布されている形であるため,自己責任で利用してもらいたい.

FTMInternal-4が起動すると,iOS14.2では以下画像のような画面になる.

この表示の中の,freq_band_ind がBandを表す.この画像であれば,18という値であるため2020年11月18日9時54分53秒時点ではパートナー回線につながっていたことがわかる.

挙動調査

「Rakuten回線 → パートナー回線」と「パートナー回線 → Rakuten回線」の切り替えの挙動について調査した.
調査場所は,大阪の御堂筋線緑地公園駅周辺である.
これは,以下の図に示すとおり,緑地公園駅がRakuten回線とパートナー回線の境目であるためである.

パートナー回線→Rakuten回線

先に,パートナー回線からRakuten回線へ自動的に切り替わるかについて述べる.
Rakutenが発表している(つまり想定される)挙動は,パートナー回線からRakuten回線には 切り替わらない である.

まず,緑地公園駅を降りたときの電波状況は,パートナー回線(Band 18)を掴んでいた.13時25分のことである.

緑地公園駅の周辺はRakuten回線を拾う場所となっているが,ビルが多いためかパートナー回線を掴んでいた.

次に,緑地公園駅から江坂駅方面へ徒歩で南下した場所で計測を行うと,Rakuten回線(Band 3)に切り替わっていた.13時28分のことである.

以上を見ると,Rakuten Mobileが公式に案内している「パートナー回線→Rakuten回線への切り替えが行われない」仕様とは反する結果であった.

もしかしたら,途中で圏外になる地点が存在することで,Rakuten回線に切り替わったのではないかと考えられるため,線路を挟んで反対側の道でも同様の実験を行った.
しかし,結果は同じで,やはり

「パートナー回線→Rakuten回線」の切り替えは行われる

ということが判明した.

Rakuten回線→パートナー回線

今度は逆に,Rakuten回線からパートナー回線へ自動的に切り替わるかについて述べる. Rakutenのアナウンスでは,Rakuten回線→パートナー回線 は 自動で切り替わる である.

Band3を掴んだ地点から緑地公園駅側に北上すると,13時39分に回線が切り替わった.

これは,公式アナウンス通りの挙動であるため疑問に感じるところはない.

まとめ

以上の調査結果をまとめると,実際の挙動は

  • Rakuten回線 → パートナー回線 は自動的に切り替わる
  • パートナー回線 → Rakuten回線 は自動的に切り替わる

であった.
少なくとも,私の環境ではこうなっているというだけであるため,他の地域や全てのiPhoneシリーズでこうなるとは言えない. また,Rakutenがアナウンスしている挙動ではないため,今後修正される可能性はある(しかし,利用者ともにメリットがなくなるのでどうだろうか…)

SMS(パートナー回線)

ここからは,すこしパートナー回線のSMSについて述べる.

Rakuten Mobileでは,パートナー回線においては,SMSが受信できないとしている.
しかし,Rakutenから各アプリストアへリリースされている「Rakuten Link」を利用することで,パートナー回線であってもSMSの受信が可能となる. > 【NEW】Rakuten Linkアプリをご利用いただけるようになりました。Rakuten Linkアクティベーション(楽天IDログインと電話番号入力を行い、電話番号を使った認証が完了)後は、パートナー回線エリアでもSMSをご利用いただけます。

ご利用製品の対応状況確認 より

そのRakuten Linkアプリでパートナー回線経由でAdobeのログインを行ったところ,以下のようなメッセージが届いた.

このメッセージはSMS認証のようなものではないはずだが,正常に受信できているとは言い難い.
この現象は発生状況が分からなく,もしかしたらAdobe側の問題なのかもしれないが,他MNOとと比べた際には懸念点になる.

まとめ

ここでは,Rakuten MobileのUN-LIMIT Vにおいて,iPhone12 miniの挙動について述べた. 「接続回線の自動切替(楽天回線⇔パートナー回線)」は今のところ公式のアナウンス内容とは異なり,パートナー回線とRakuten回線の双方向の自動切り替えが可能であった.
「SMS(パートナー回線)」は,原因はわからないが一部SMSが正常に受信できない可能性がある.

Rakuten Mobileはすこしの懸念点はありつつも,大都市圏では選択肢に入りうるMNOになるのではないかと思う.
また,UN-LIMIT Vは1年間無料で利用できるため,1年間試しに使ってクオリティに満足できなければ解約するといったこともできる. そういった意味では,価格以上のサービスではないかと言える.

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